2024年1月13日(土)、14日(日)は大学入試共通テストが行われました。
(追試験・再試験は同月27日(土)・28日(日))
言うまでもなくマークシート、選択問題です。
国語力を高める時に注目されるのは記述の力ですが、実は多くの試験問題では選択問題の比重も大きく、侮ることができないものです。中学受験、高校受験でも同様です。たとえば豊島丘女子、渋谷教育学園幕張といった難関校でも選択問題がほとんなので、このような傾向の学校を志望する場合は、意識して選択問題対策に取り組む必要があります。
選択問題で問われるもの
それでは選択問題対策として何をすればよいのでしょうか。
まず、選択問題で問われることを理解しましょう。もちろん読解力が問われることは言うまでもありません。読解力は問題文・設問文・そして選択肢の3つを読む力が必要です。
もう一つ問われること。それは『語彙力』です。これについては後述致します。
まず読解力について、詳しく見ていきましょう。
選択か記述かを問わず、問題文はしっかり読むでしょうが、意外と読み飛ばしているのが『前書き』と『語注』です。『前書き』は本文の前にある【状況や関係性を教えてくれる親切な説明書き】であるのに、これを読まずに本文にいきなり取り組む生徒さんは意外と多いのです。
物語文、論説文、古典でも試験問題として出題されるのは一部分です。特に古典では登場人物があるときは固有名詞(名前など)、あるときは別の呼び名で表されることが圧倒的に多いのです。その時に『前書き』や『語注』を把握しておかなければ、途中から行動の主体を読み違えてしまうといったことが高確率で起こります。
そこからさて選択肢を読んでみると、親切な問題であれば「文章に合う選択肢がない!」となるでしょうし、高難度の問題であれば「ひっかけ選択肢に引っかかってしまう」という事態が発生するわけです。
生徒さんは、圧倒的に記述問題より選択問題が好きだったり、得意だと思っています。確かに『記述力』を必要としないぶん、答えやすいと思えるのでしょう。ですが試験問題である以上、答えることができる人ばかりでは順位も合否もつけられません。ですから、全員が答えられるような問題ばかりが出題されることはありません。一見簡単そうに見える選択問題には、むしろ慎重になるべきです。
ひっかけ選択肢に多いパターンとして「とても常識的な、とても正義感に溢れている」選択肢だけれど、「問題文には書かれていない」文章であることがあります。
よく、国語は「正解は問題文に書いてある」という言葉で表現されます。文学史など歴史に絡めた問題が出題されることはありますが、基本的に問題文に書かれていない内容を選ばせることはありません。にも関わらず、選択肢の中に皆さんの常識に訴えるようなものがあると、それを選びたくなってしまいます。それを選ばないことが、常識を否定することだと思ってしまうのです。ですが先ほど申し上げた通り、国語は「問題文に書かれた正解を答える」教科なのです。
これらのことを踏まえ、「選択肢を選んだ根拠が問題文中にない場合」、たとえどんなにもっともらしいことが書いてあっても、その選択肢を選んではいけません。また、問題文と同じ語句や文節を使っていたとしても、語順が入れ替わっていたりして意味が変わっているものも同様です。
もしも選択肢が2文節以上の長いものであれば、文節ごとに問題文と照らし合わせてみることが必要です。ここまで読んでいただけばお分かりかもしれませんが、選択問題は消去法で解くと罠にはまりやすい問題であるともいえるのです。難易度がそれほどでもなく、選択肢の文章が支離滅裂であったり、全く問題文中に書かれていないことが述べられている場合以外は、「どれがあっていないか」ではなく「どれが問題文に根拠があるか」で選択する必要があります。選択問題にも難易度があることを忘れず、問題に取り組んでいただきたいと思います。
言い換えを見抜く「語彙力」
選択問題で問われるもう一つの力、『語彙力』。
「正解は問題文に書いてある」国語なのですが、問題文に書いてある単語で選ぶと間違ってしまう。それが選択問題の注意点なのです。
選択肢の中に問題文通りの単語があると、ついそちらを選ぶことは非常によくあります。しかしよくよく選択肢を読んでみると、あくまで単語が使われているだけで意味は本文と合致していない、というのは珍しいことではありません。
一方、問題文中の単語が一切使われていないけれど「単語が言い換えられていて」、全体として問題文と意味があっていることがあります。この「言い換え」を見抜くために『語彙力』が必要になってくるのです。
実際に先日行われた大学入試共通テストの問題から、言い換えの例を見てみましょう。
第2問の問3。友人の対応の理由を問う問題です。この問題の選択肢は3つの要素で構成されています。
①友人がおばとの同居をイチナに話していなかった理由
②友人がイチナにおばとの同居を話そうと思ったきっかけ
③「そのうえで」と続く友人の考え
この中で②について、本文ではイチナが「億劫」という言葉を使って友人の気持ちを推測しています。選択肢中にはこの単語がありません。しかし、同義語があります。それが選択肢4の「煩わしい」です。友人は「イチナにおばを煩わしく思っていると誤解されている」から、同居について話そうと思ったのでした。
この問題は単純な言い換えだけを見つける問題ではありません。ですから、正解にたどり着くには他にも問題文中の友人の意図を読み解く必要があります。しかし、この「億劫」=「煩わしい」が知識としてあれば、短い時間で根拠をもって解答を決めることができます。
選択問題解答のコツ、という情報は多くあります。もちろん私も解法を生徒さんにお伝えすることはあります。しかしはっきりしているのは、近道はないということです。語彙力があれば選択問題、長文読解問題、記述など様々な種類の問題への対応が可能になります。その語彙力は一朝一夕では身に付きません。
今仮に「長文読解が得意」という生徒さんも、1年間語彙力を高める努力を全くしなければ、1年後は「長文読解で得点が取れなくなった」という状況になっても不思議ではありません。地味な努力ではあるし、すぐさま得点に大きく貢献するものではなくても、語彙力を高める努力は決してやめないでいただきたいと思います。
選択問題、決して簡単ではありません。簡単に解けるようなコツは全ての問題には通じません。やはり基本は読解力や語彙力なのです。