「酷語」という言葉、いまではすっかり定着してしまいました。
学生時代、国語で救われてきた私には意外な言葉でした。しかし実際に多くのお子さんに接していると、その理由が分かってきます。
というのも、低学年のお子さんに国語と算数を教えていたところ、ある出来事があったのです。
算数のミス、実は『国語』のせい?
それは算数の文章題でした。パズル問題です。(ここでは一部内容を改変しております)
お皿が3つあります。左からドーナツ、ケーキ、シュークリームがのっています。
このお皿を動かします。
① ドーナツとシュークリームを入れ替えます。
② つぎに、ドーナツとケーキを入れ替えます。
では、今は左からどういう順番で並んでいるでしょうか?
するとお子さんは顔をあげて、私にこう言いました。
「先生、ドーナツが2個あるよ!お皿が1枚増えてる!」
大人の目線では、つい「問題文をしっかり読んで」と言いたくなってしまいます。そして、このお子さんは計算問題は非常に得意で、算数のテストも国語のテストも9割程度を取れるお子さんです。それなのに、どうしてこのようなことが起こるのでしょう。
文章を「単語の羅列」として捉えてしまうと、時間の経過や動作の順序が見えなくなってしまいます。
「つぎに」は話題や場面が動く言葉です。ところが、「ドーナツ」や「皿」、「入れ替える」という単語に注目するあまり、接続詞は見落とされてしまったのです。
お子さんにとっては、ドーナツとシュークリーム、ドーナツとケーキは同時に起きていることなのです。頭の中で、ドーナツは2つなければいけなくなったのです。
できあがる壁
「計算は早いのに、文章題になると手が止まる」「ケアレスミスが減らない」……そんな悩み、実は算数の力不足ではないかもしれません。
私が教えた低学年のお子さんは、解答に困っているときはいつも「問題の意味が分からない」という状況に陥っていました。これは国語でも同じです。
そして、この状況は小4以降で徐々に深刻になります。問題の本文だけでなく、問題文自体がより抽象的になって、言い換えも増えるからです。
テストの解きなおしの際、「あ、そういう意味だったんだ。じゃあ、答えは分かる」「次回は、落ち着いて問題を読んでね」。そう話したはずなのに、また、同じように間違えてしまう。こんなことが続いたら、お子さんはどんどん傷ついて、国語に拒否反応を示します。そして「酷語」になってしまうのです。
小3までにしておきたいこと
正直なところ、国語を好きだというお子さんは少ないと感じています。ですから読書なんて、嫌いだというお子さんがいても全く不思議ではありません。
読むのはマンガでもいい。もしかしてアニメ映画を見てもいい。大切なのは、そのあとです。
「言葉でお話を説明してもらう」
はじめのうちはスムーズに言葉が出てこないかもしれません。そんなときは、初めの一言を言ってあげてください。そして、避けていただきたいのは、締めの言葉を代わりに言ってあげることです。立派な言葉づかいでなくてもよいのです。その子なりの「起承転結」を語らせてあげてください。
マンガでなくても、日々のお友達との遊びでも構いません。「主語ー述語」が正確につながるように、「誰が(何が)どうした」を最後まで言い切る訓練をしてください。
本来、こうした「文章のリズム」を体得するために音読がもっとも有効です。音読は、学年が進むにつれて嫌がるお子さんが増えます。ですから低学年のうちに音読にも慣れて、「文章のリズム」を身体に染み込ませてください。
難しい漢字の単語やカタカナの外来語に埋もれてしまう、「つぎに」「さらに」「くわえて」が場面をつくる。それを体得してから、小4の壁をひらりと越えていきましょう。