中学受験はいよいよ佳境を迎えます。
ご本人はもちろん、保護者様も様々な思いと闘っていらっしゃるでしょう。これまでの塾の送り迎え、お弁当作り、そして何より、模試の結果に一喜一憂する日々・・・。本当に「苦しい」の一言では言い表せない数年間。そして直前となった今、不安で眠れない夜を過ごしているのは、あなただけではありません。
国語の点数が伸び悩んでいると、つい『もっと考えなさい!』と言いたくなります。でも、実はもう、お子さんは十分考えています。 ただ、『正解を自分で作らなきゃ』という重圧で、動けなくなっているだけ。 私は今の時期こそ、生徒にこう伝えています。 『大丈夫、答えは全部、目の前の問題用紙にあるんだよ。あなたが作らなくても、探してくるだけでいいんだよ』
記述が書けなくても、それはお子さんの才能のせいではありません。 『自分勝手な作文』を卒業して、『本文の言葉を信じる』。 この切り替えひとつで、入試当日のわずか10分間でも、国語の景色はガラリと変わります。 お子様が持っている本来の力を、ただ引き出してあげましょう。
『基礎への立ち返り』は、入試直前こそ最大の武器になる
私がもっとも長い時間勉強したと言えるのは、大学入試センター試験(当時)の直前。実は、直前まで数学に絶望していました。
このままでは絶対に目標偏差値に届かない。焦りの中で気づいたのは、『高3の応用ができないのではなく、高1の基礎があやふやなだけだった』ということ。私はあえて、過去問を閉じ、高1の教科書を開きました。
周りの同級生が過去問演習に励む中、高1という基礎に戻るのはとても怖かったです。でも、その基礎という『土台』を固めた瞬間、面白いように点数が伸び始めたのです。「あ、分かる!」と感じた瞬間の喜びと安堵感は、今でも忘れることはありません。
この経験は、今の国語の指導にも生きています。 直前期、あれもこれもと欲張る必要はありません。 『自分で作文せず、本文の言葉を拾う』 この、一見シンプルすぎる『基礎の型』に立ち返るだけで、記述の白紙は消え、点数は安定します。
『今さら基礎なんて……』と不安になるかもしれません。でも、算数の公式と同じように、国語にも『解くための型』があります。 直前の今だからこそ、小難しいテクニックではなく、一番シンプルで強力な武器を握りしめてください。
勇気ある「後退」が、最大の「前進」だった
私が偏差値を10上げた時、一番必要だったのは、新しい参考書ではなく『これだけ基本を理解できていれば大丈夫』という安心感でした。
中学受験の国語も全く同じです。 難しい記述問題が解けないのは、お子さんの語彙力や思考力がないからではありません。 『本文から言葉を探して、接続詞でつなぐ』という、たった一つの、でも一番大切なルール(型)を、焦りの中で見失っているだけなのです。
難しい言葉を使おう、立派な作文をしよう……。そんな『応用』を1時間やめてみませんか。 『作文しない』という、国語の基礎に立ち返ること。 それは後退ではなく、合格への最短ルートです。 私があの冬、数学で10以上の偏差値を上げた時と同じ景色を、皆さんにも見ていただきたいのです。
最後の力は「自信」
誰もが不安で胸が苦しくなる日々。最後の力は皆さんの中にあります。
努力した自分を、信じる力。
これだけは、どんな塾講師でもかないません。
そして最後は、ご家族の笑顔が一番の薬です。焦らなくて大丈夫。最良の道は、一番シンプルな道なのです。