ほとんどの方が苦手な記述問題。前回から物語文の記述に取り組んでいます。
例題は 女子学院中学校 2025年問題。大問二の物語文、問四の(2)です。
前回(1)の「言い淀む」の意味を確認しました。これは「言葉を言いかけてためらう」でした。
ではいよいよ(2)です。ここから、記述のステップになります。
①求められている要素を明らかにする
記述問題は時間が掛かる。だからほかの問題を速く解いて、記述に時間を残す。
おそらく皆さまがこの作戦を取られていると思います。この作戦自体はご本人に合っていれば良いとして、問題になるのはそのあとです。
時間が掛かるのだから早く書かなければ、といきなり書き出す方がとても多いのです。ですが、記述は多くても50字くらい。皆さんが字を書くスピードは個人差があるものの、1分間で20~30字程度と言われています。おおよそ2分あれば、書くこと自体は出来ることになります。
時間が掛かるのは、何度も消したり書き直したりを繰り返してしまうからです。しかも途中から消して書いて消して書いてしているうちに、主語と述語の関係はねじれ、助詞が消え、消し残しで減点される。
ですから記述で得点を「効率的に・確実に」取るためには、書く前準備がもっとも重要なのです。
そして前準備の第一段階として、問題を丁寧に読んで、何を聞かれているかをはっきりさせることを行います。この問題であれば、可奈に対して言い淀んでいる緋桜の気持ちです。そして丁寧に書きなさいと指示があります。問われていることを箇条書きしてみると、次の3つです。
・緋桜の気持ちを書く
・可奈に対して言い淀んだ理由を書く
・丁寧に書く
実際の試験の中で箇条書きをする時間と手間をかけられるか、という問題はあるものの、求められている要素を明らかにすることは記述問題を解答するうえで絶対に必要です。
たとえば問題文に線を引いて①②…と番号を振っていけば、「①は書けた、②は書けてない」と解答確認する際に役立ちますし、要素の書き洩らしによる減点を減らすことができます。
この「求められている要素を明らかにする」というステップは他教科の文章問題でも絶対に必要です。ですから必ず身に着けてください。
②要素の主語ー述語の関係を整理する
記述は文章を書くことですが、その文章は分かりやすく文法的に誤りのないものであることが減点を避けるために必要です。
ですから書く前に文章の構成を整えることで、よく言われる「主語と述語のねじれ」を防げます。そして同時に 主語・述語・目的語・修飾語 のどれが欠けているのかが分かります。
その欠けている部分が書くことを求められている部分なのです。面倒に感じても、かえってよい結果につながるので、習慣づけておきましょう。
ちなみにある程度書いてから語順を整えるという方もいらっしゃいます。それが身に付いてスムーズに進む方は良いのですが、要素の書き洩らしを防ぐ目的ではこの段階で確認することをお薦めします。
ここまでで明らかになった要素を代入して、さらに足すべき要素を見つけましょう。問題は
緋桜が加奈に対して言うのをためらった。その時の気持ちを丁寧に説明に書く
=緋桜が加奈に対して言うのをためらった理由とその時の気持ちを詳しく書く
と言い換えることができます。
理由を書くことは記述の大定番ですから、最後が「~だから」で終わることはご存知ですね?
そして探したいものは「理由と気持ち」だと決まりました。では、本文から見つけていきましょう。
③書くべき要素を本文から見つける
理由と気持ちを書いていくので「~だから、~な気持ち」となります。物語文で登場人物の気持ちが動くためには理由が必要だからです。
そして記述の定石は「後ろから書く」です。これは意味の伝わる文章を書くために大切なことですから、早い段階で慣れましょう。ではまず緋桜の気持ちが書かれた部分を探します。
ところがこの場面では、緋桜の気持ちが心情語として書かれた箇所はありません。では想像するのか?というと、少し違いまして「読み解く」ことが必要なのです。
「読み解く」というと国語が嫌いな方々にはとんでもなくハードルが高いことのように感じるでしょう。でも「読み解く」とは「その根拠が文中にあること」という条件が付くだけです。
学校の授業で「この場面の主人公の気持ちを想像してみよう」と言われたことがあるかもしれません。クラスの全員でいろいろな感情を想像した経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
しかしテストの国語は本文中に書いていることしか出てこないので、言い換えると「解答の根拠が全て本文中にある」のです。ですからここでも書かれている緋桜の様子を根拠に、想像するのではなく、どんな気持ちかを読み取ります。
そしてこの設問は親切なことに、(1)で「言い淀む」の意味を確認してくれています。前回でも触れましたが、「言葉を言いかけてためらう」でした。ためらうということは、何か気になることがあるのですね。
では緋桜は何を気にしているのか?これは詳細に書かれているので、まとめることが大切です。
①可奈は使う人の癖やライフスタイルに合わせた作品づくりにこだわっている
②緋桜が愛用しているミニポーチは可奈から買い求めていなく、プレゼントされたもの
もし①と②を接続でつなぐとしたら逆接ですね。しかし、だが、などです。
①+「しかし」+②+「(プレゼントされたもの)であることを気にする気持ち」
これでも部分点は十分とれます。これなら、気持ちの想像が出来なくても書けそうではありませんか?
ちなみにより完成度を高めたければ、ためらう緋桜の気持ちを詳しく書きます。緋桜が言い淀んだ言葉は例えば、「私のミニポーチは貰い物です」です。
そうすると、可奈の作品作りのこだわりと合わないですね。そのことを言うことをためらったのですから、追加してみましょう。
①+「しかし」+②+「(プレゼントされたもの)であり、可奈の作品作りのこだわりと合わないことを気にする気持ち」
このように、心情記述とはいえ、その根拠はあくまでも本文です。線引きや下書きなくして、頭のなかだけで考えることは間違いのもとです。その一方で本文をうまく使えば良いのですから、その方法さえ身に付ければ書けるようになります。
間もなく冬休みに入る方も多いでしょう。ぜひ数時間かけて、この方法を身に付けていただければ思います。