記述問題の得点力を上げるためにどうすれば良いか?

多くの方がお悩みでいらっしゃるこの問題、「決まったやり方」を習得すれば克服できます。

前提として「本文の主題がつかめていること」という点はありますが、この点がクリアできていれば「記述問題は書ける」のです。

ですが、同時に理解しておくべきこととして「満点は目指さない」ということがあります。

中学受験の国語は大人でも戸惑うほどの長文、難解な文章であることも珍しくありません。そうした問題文を前にして、記述で満点を狙うのはお子様に負荷がかかりすぎ、お勧めできません。

狙うのはあくまでも「部分点」。的外れな解答でなければ取れる点数を、確実に取る方向で取り組むのが正解です。さて、それではどうやって部分点を取るのかという方法をご紹介します。

物語文の心情記述

実は説明文よりも得点の個人差が大きいのは物語文の記述です。なぜなら、「心情語」への慣れに個人差がとても大きいからです。

よく「国語は女子のほうが出来る」と言われるのは、この点です。繊細な感情表現に関しては、精神的に早熟であることが有利に働きます。そしてあくまでも傾向として、女子のほうが男子より早熟であることが多いのです。

といっても、これは意識的な学習で十分カバーできます。物語文に出てくる感情をひとつひとつ覚えるのです。理解して実感できれば良いのですが、昨今の中学入試問題は子供向けではない文章が多く出題されています。それを「理解する」ことをお子様に求めても、モチベーションを下げるだけになってしまいます。

なじみのある「嬉しい」は「心が浮き立つ」「顔がほころぶ」「口元がゆるむ」、「泣きたい」は「鼻がツンとする」というように、決まった表現に変えられて出題されることが多いのです。

例えば週テストでこうした見たことのない表現に出会ったら、ここぞとばかりに囲むなど印をつけ、復習してください。そして、自分の知識にして、次に目にしたときは「これは『悲しい』という意味だな」とすぐに出てくるようになりましょう。

女子学院2025年問題を例に

ここから、実際の過去問を使って記述のやり方を確認していきます。

女子学院中学校2025年問題の物語文。問四をやってみます。

まず(一)で「言い淀む」という語彙の意味が問われています。この意味が分からないと、(二)の記述で部分点を取ることは難しいのです。ですからこれも見ておきましょう。

問題には「言い淀む緋桜の」と書かれています。緋桜のセリフを確認します。

『「あ、でも私の……」』とあるように、緋桜は最後まで言葉を言いませんでした。ですから選択肢(イ)(エ)はこの時点で違います。残る2つから正解を見つけるために、緋桜が言葉を最後まで言わなかった理由が書かれた部分を読みます。

「緋桜が愛用している~プレゼントされたものだ。」

この問題が難しいのは、はっきりと緋桜の気持ちが書かれていないことです。

事実として『緋桜のミニポーチは可奈の作品で、都子からプレゼントされたものだ』と書かれているだけなのです。それと緋桜の言葉を結びつけるためには、ここまでに書かれた『可奈の作品へのこだわり』を読めていることが必要です。

それがもっとも分かりやすく書かれているのは緋桜の言葉の直前の可奈の言葉です。

『「その人だけの作品、と思って作ってはいます」』

可奈は作品をその人だけ用に作っている。緋桜はその人用に作られたはずの可奈の作品をプレゼントされている。

では緋桜のミニポーチはだれ用に作られたのでしょう?

ここで「おかしいな?」と思えたら内容が理解できています。

緋桜も「おかしいな?」ではなくても、違和感を感じたはずです。だから「私のミニポーチはプレゼントされたもので、可奈さんから直接購入したものではないです」とは言えなかったのですね。

選択肢を確認しましょう。(ウ)言葉を思いつかなかった  思いつかなかったわけではないですよね。自分の愛用しているミニポーチがプレゼントされたものであることを、緋桜本人が忘れるはずはありません。しかし可奈がこだわりを持って「その人だけの作品」を作っているはずなのに、自分の「可奈の作品」は可奈から購入していないなんて、本人を目の前にして言いにくいですよね?

ですから答えは(イ)言葉をいいかけてためらう ですね。もちろん知識問題ですから、知っている方はここまで考える必要はありません。

余裕がある方はこの時の緋桜の心情をほかの言葉で言い換えてみましょう。たとえば「後ろめたい気持ち」。中学受験では人間関係をテーマとした問題も多く出題され、相手に対して抱く気持ちも単純に「良い・悪い」だけでは表せないことが多くあります。

こうした「思いの名前」は本来成長と共に体得していくものですが、中学受験時の年齢では未だ体得まで至らないことも現実にはよくあることです。繰り返しになりますが、そうした場合は知識として覚えていくしか方法はありません。

さて、次回はこの(一)をベースとして(二)を書いていきます。

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