前回に引き続き、2025年度の慶應義塾中等部入学試験の国語について振り返っていきます。

例年時事問題を出題する同校ですが、今回は会話形式で国際問題が出題されました。

会話文の形を取った、社会の要素が強い問題でした。国際情勢についてです。

他校でもウクライナ危機やパレスチナ問題を取り上げる問題は見られました。国語においてはそれらの問題の詳細を知るというよりは、それらを「自分と同じ世界で起きている」という意識を持ち、知識を蓄えておくことが求められているようです。

問1。後に続く会話から、前のセリフを推測することができます。

問2。お父さんは「話せば長くなる」といいながらも「話すと、」と説明してくれるので、詳しく話すわけではないのでしょうね。選択肢の語句の意味がわかれば迷わないものと思われます。

問3。まず、この文章より前に「ハマス」が登場していること。それからイスラエルが攻撃を加え、それが大きな影響を与えていることが直前に述べられていること。これらを満たす箇所を選びます。

問4。これは難しかったのではないでしょうか?正解の花見も、奈良時代には穢れをはらったり豊作祈願を行う神道の行事であったといわれていますので、私も正解できないと思いました・・・・・。七五三で迷った方もいらしたでしょうか?これも神道、仏教の行事になります。他の選択肢はなじみがおありでしょう。

問5。明らかに違う(あとのお父さんの言葉とつながらない)選択肢もありますが、まぎらわしいものもありました。おそらくはナギサが小学生である描写がありますので、お父さんの年齢をそこから推測させたかった問題のようです。とはいえ、ご家庭の状況はいろいろあるので現実では一概にはいえません。もしそれが根拠となる選択肢であるならば、少し残念に思います。

問6。会話文から筆者の言いたいことを判断する、という形式です。頼りになるのは二人の会話ですが、選択肢を見るとどの選択肢も問題文の内容と相違ありません。

さて、この会話文は物語のようで説明文です。ですから例や事実と筆者の主張に分けられるのです。お父さんとナギサの会話のそれぞれの役割に注目してみましょう。

お父さんは時にはナギサの質問に答え(実例を説明し)、そのあとご自分の意見を述べています。この「お父さんの意見」は筆者の意見を代弁しています。そしてナギサは疑問を述べる(提起する)役割です。

ここで思い出していただきたいことがあります。説明文を読解するための重要な文型の一つ。「なぜ~なのだろうか」などの疑問や問いかけの形です。この形が出てきたときは、これより後に筆者の意見や考えが述べられます。ナギサはそれを述べるための疑問を述べているのです。

ナギサが疑問を述べ、それにお父さんが答える。その形で、筆者が考えを述べているのがこの会話文の構成なのです。

ですからまず、筆者が言いたいこと=お父さんのセリフであることは決まります。そして「本文を通じて筆者が言いたいこと」ですから、文章の最後に来るか、そうでなければ文章の先頭に来るのです。これは説明文の形として、みなさんご存じですね。これを踏まえると、お父さんの最後のセリフがもっとも言いたいことだと分かります。選択問題は選択肢を前後に分け、後半部分の正誤を判定するというステップで解いていきます。そうすると、残る選択肢は一つしかありません。

この大問を通して言えることは、会話文に惑わされないこと。皆さんは物語文の解き方を必死に勉強しているはずですから、会話を見たら物語文の解き方を使いたくなるはずです。しかし設問の内容は説明文のそれですから、もし物語文だと思ってしまっては、限られた試験時間の中で慌ててしまうかもしれません。物語文は「変化の文章」、説明文は「例と考えの文章」です。これについては、またの機会に掘り下げます。

単純な語彙力を問う問題ではないのが厄介な点です。過去問としてみた時には「知識を備えれば解けるであろう」と思える問題も、実践では時間に追われ緊張にさらされ、解答欄間違いなどの思わぬミスをしやすい問題の形です。

こうした問題は各校で出題されているので、過去問を利用して形式に慣れておくのも良いですし、問題用紙に線などの書き込みをするなどの間違い防止策を用意しておくのも安心材料になるでしょう。

語彙知識は単なる暗記ではいけない、と改めて思う問題です。生徒さんから「熟語などはどのように暗記したらいいか」という質問を受けた際、私は必ず「文章で覚えてほしい」とお伝えします。

それは単なる語句では定着しにくいためと、結局のところ「使えなければ意味がない」、つまり暗記だけでは実践で役に立たないからです。読むにしろ書くにしろ、皆さんが目にするのは文章だということを忘れないで学習してください。文章は単語や熟語だけでは成り立ちません。どのような場面で、どのような前後の文章と関係を持って言葉が使われたのか。この基礎的な力こそ、中学受験で重視されるものです。

同音異義語が正確に理解できているか、コタえるやトめるなど、漢字としては平易ですが使い分けが難しいものが出ています。大問4でも触れましたが、文章の一部として語彙力を磨くことを行ってきた方には難問ではなかったでしょう。

難関校は特別な問題が出題される、とお考えの方も多いでしょう。しかし国語に限っていえば、基礎力の高さが先ず求められ、そのうえで考える力を問われることがほとんどです。

主語述語に注意して丁寧に文章を読む、語彙力は文章の中でどう使われているかで覚える。ぜひ今日から意識してください。必ず力になって、あなたの役に立ちます。