前回のブログでは、記述問題の解答を作成する前準備について説明しました。

面倒に感じるかもしれませんが、こうした「解答を記述するための前準備」は非常に大切です。

時間が足りなくなるのも、何を書いているのか分からなくなるのも、この「前準備」が出来ていないからです。これは何度も記述問題を解いていくうちに身に付いていくものですから、記述問題が苦手だという方はぜひこの点を意識して演習に取り組んでください。

段階① 重要なところに線を引く

ではそれぞれの解答となりうる部分を見つけ、線を引いてみましょう。

先ず1点目。『魂の不死を主張する論』の内容とは?

直前に『一つ目以外の三つの文章をひとまとめに~』とあります。前回確認したように、この問題で多く記述するべき部分は後半です。ですから、この部分は可能な限り簡潔に、文字数を使わずに書くところです。一つ一つの具体例はあえて触れず、三つの論をまとめているところを探します。すると破線の直前2行に「一つ目以外の~残ることを前提としている」という文章があり、まさに三つの文章をひとまとめにしたものがそのまま記されていることが分かります。まず「身体が滅びても~残ることを前提としている」に線をひきます。

さて、2点目。『この論があることで、どのようなことが可能になりますか』を探してみましょう。

この文章は、大きく二つに分けられます。

前半部分では、「死の理解」に対する4つの論が展開されています。そして『一つ目以外の三つの文章をひとまとめに~』とつながっていくのです。後半では話題が転換して、「魂の不死を主張する論」のとおり魂が身体と別であった時、どのような事象が起こるのかを列挙しています。

そして問われていることは、『(「死の理解」について)この論(=魂の不死を主張する論)があることで、どのようなことが可能になりますか』なのです。確認したように、何が可能になるのかは後半には記述されていません。そこで前半部分、「死の理解の実例としての4つの論」以外の部分に注目しなければならないことがわかります。これは実例は記述問題の解答とならない、というセオリーに基づいています。

第5段落に「たとえば、私たちが人生について~死の理解を前提にします。」とあり、「私たちは宗教を~考えることができません。」と続きます。つまり死の理解の物語とは宗教のことです。ですからこの設問が聞きたいのは、宗教があることでどのようなことが可能になるのかということなのです。

ここまで考えれば、どこに線を引くのかお分かりかもしれません。第3~4段落の「多くの宗教は、人間はどこからきて~生と死を考えています。」までです。

②解答を「作る作業」

「いきなり解答を書いてはいけない。まず下書きを書きなさい。」

記述問題が苦手な方なら、おそらく何度も言われたことがあると思います。確かに、下書きまで書いて解答欄に清書できたら言うことはありません。ですが…解くスピードも重視される近年の入試本番の中で、それを完璧に出来る方は、きっと国語が苦手な方ではないでしょう。問題文を読む時間が掛かりすぎて、選択問題に悩んで悩んで、そのうえ記述問題の下書きを書く時間まで確保できない…そんな苦しさを経験された方が、当塾にいらしているのです。実際、中高一貫校に通う塾生の方でも「下書きをする余裕はないかも…」と自信なさげに俯いてしまいます。

私は下書きを完璧に書いてほしいとはお願いしていません。その代わり、設問の意味を理解してから解答に取り組むことと、解答に書くべき重要箇所に線をひくところはしっかりやるようお願いしています。

下書きは、問題文に書き込むことで対応できるのです。

記述問わず、国語問わず、問題文がきれいすぎるまま試験を終える生徒さんは、そのほとんどが結果に満足していません。もっと問題文を活用して、自分の負担を減らしていただきたいと思います。

この設問であれば、まず後半の「何が可能になるのか」を絞り込みます。解答の要素を一つずつ確認しましょう。

1.宗教が語るのは人がどこから来てどこへ行くのか

2.人間とは本来何であるのか

3.本来のあなたはどうであるか

4.宗教的思考から生まれてきた人生という物語の中で、生と死を考えている

これを絞り込んで解答を作成します。絞り込みの方法は

①同じことを言っている部分はどちらかを残す

②例はカットする、指示語は書かない

ーもう何度も聞いたことがあるでしょう。問題は、これを「いつどんな問題に対しても、より早く」実行できるまで自分のものとしているか、です。そのためにはこの点をいつも意識しながら、ひたすら演習を繰り返すしかありません。

さて、「宗教があることでどのようなことが可能になるのか」の解答なので、1.【宗教が語るのは】この部分はカットします。

4.も【宗教的思考から生まれてきた】をカットしてみましょう。

次に、1.で残った「人がどこから~」は2.の「人間とは本来~」とが同じような表現です。ですからより簡潔にまとめてある2.を残しましょう。これで①同じことを言っているところはカットする、ができました。

ここまでをまとめると、「人間は本来何であり、本来の自分がどうであるかや、人生における生と死について考えることができる。」という後半部分ができました。47字です。残り23字で前半を作成しましょう。

先ほど線を引いた箇所を簡潔にすると、「身体とは別に魂は存在するという考え方のことで、」となり23字です。「身体が滅びても魂は~」にすると文字数がオーバーしてしまうので、この部分を言い換えました。これで解答が完成しました。

実力を上げていくために

このように解答を作成していくことは、とてもとても面倒な作業に感じるかもしれません。ですが勘に頼って解答しているうちは、安定した点数を取ることは出来ませんし、せっかく解きなおしをしても実力がつくこともありません。それでは頑張っても虚しいですよね。

このやり方で解くようになった生徒さんからは、「解くのが楽になった」という声を戴いています。ぜひ、そう感じていただけるようになってほしいと思います。