中学受験はじめ、多くの国語が苦手な生徒さんが最も不得手とする記述問題。特に苦手意識が強い説明文について、実際の試験問題を見ながら考えます。
豊島岡女子学園中学校 2024年度入試問題から
豊島岡女子学園中学校 2024年度入試問題の説明文は、大まかに申し上げると「死についての哲学と宗教の姿勢」を論じている文章です。もちろん分かりやすい言い回しで書かれてはいますが、12歳の皆さんにとって馴染みやすいテーマとは言えないでしょう。
しかし、「説明文の解き方」はその文章のテーマに関わらず一定です。まずは接続詞に着目して、文章の構造を明らかにします。
「たとえば」に続く文章は実例であって筆者の考えではないし、「ところで」が出てくれば話題は変わります。この文章はテーマの馴染みにくさと長さゆえ、皆さんには苦痛にさえなりうるものかもしれません。しかし文章の大部分は例で、しかも例は『一つは~四つ目は~』というように書かれていて、構造としては分かりやすいものです。これが分かるためには、どんどん読みながら【筆者の考え】と【例】に仕分けしていくことが大切です。当塾の体験授業でも、そうした例題に取り組んでいただきます。
問われていることが分かれば解答は楽になる
さて、この大問では問7までは選択問題で、最後の問8で記述問題が出題されています。
そしてこの問8では、二つの点が問われています。ひとつ目は『魂の不死を主張する論』の説明、ふたつ目はこの論があることによってどんなことが可能になるのか、です。
ここで注目すべきは、問題の意図を正確に把握してから解答を作成しているかどうか、ということ。というのも問題文が『~とありますが、これによってどのようなことが可能になりますか。この論の説明をしながら~』となっているために、どのようなことが可能になるかを解答することに注目しがちになるからです。特にコツコツ問題を解くのが苦手、感性だけで問題に取り組もうとするお子様はこの状態になりがちです。
説明文に限ったことではありませんが、解答作成の前に、何が問われているかを正確に把握することは重要です。この点は他教科でも同じです。いくら練習問題やプリントができた、よくわかったと思っていても、実際のテストで問われていることが理解できなかったら、どの教科も途端に正解することが困難になるでしょう。これこそが、国語は全ての教科の土台だと言われるゆえんです。
大切なのは結論
さて、この問題には2つの要素を記述しなかればならないことが分かりました。文字数は75字以内という指定があります。解答するためひとつ目に取り掛かろうとする前に、考えなければならないことがあります。
それは、「この問題を作った人が、一番聞きたいのはどっち(または何)だろう?」です。
75字もある、ひとつ目もふたつ目もたくさん書かないと埋まらない。そう考えてしまいますよね。そして始めから文章を考えていったら、あれもこれも入れないといけない、文字数が足りない。または極端に短くなる。いったい、何を書いて何を書かなくていいのかわからない。自分は読解問題、特に記述問題が苦手だ、嫌いだ。
嫌いなのは仕方ありませんが、苦手ではないんです。解き方が身に付いていないだけです。
もう一度、問題文を見てみましょう。
『~とありますが、これによってどのようなことが可能になりますか。この論の説明をしながら~』
論の説明はながらでいいのです。音楽を聴きながら勉強する、という場面を思い浮かべてください。主にやっているのは勉強の方ですね。ですからこの問題も、「どのようなことが可能になるのか」、それが主に問われていることです。75字の解答の多くを占めるのは可能になることが何かという結論です。
それからもう一つ。記述問題や作文でいきなり書き始めて、途中から何を書きたいか分からなくなったことはありませんか?そのためにもう一度書き直そうと、途中や始めから消して書き直すから時間がかかって最後まで問題に辿り着けないことはありませんか?
記述問題が苦手な方は、ほとんど下書きをしません。問題を読んですぐに解答を書き始めます。苦手だから、ゆっくり下書きなんてしている時間はないと思うかもしれません。そんな方に慣用句をご紹介。「急がば回れ」「急いては事を仕損じる」。
不慣れだからこそ、苦手だからこそ、慎重になるべきです。正しい手順で、こつこつ解答する。近道はありません。正攻法を何度も繰り返し、身に付ける。それができれば、どんな文章だって怖くありません。
さあ、解答を作成する準備が整いました。次回は解答作成手順を解説します。