前回のブログでは、記述問題を解くステップについてご紹介しました。記述問題は、新たに文章を考える能力ではなく、該当箇所を見つけ抜き取る能力、条件に合わせてそれを調整する能力が求められています。

では、引き続き大問2の問2から見ていきます。

大問2 論説文②

指定された文章に当てはまる言葉を入れて、説明文を完成させる問題。

Aは抜き出しです。概念を生み出す能力とは何か。犬の能力については、問1で確認しました。今度は人間の能力についてです。この「人間の能力」については、傍線部2の一つ前の段落に記述されています。

「違うものを同じだと…特殊能力」まさに、この箇所にまとめられています。「違うものを同じだとみなす」(特殊能力)という言葉は文章中盤以降、頻繁に出てきます。問題文を読めていれば、解答用紙に与えられた『能力』というキーワードを手掛かりに、比較的容易に出てくる解答だと思います。

では、概念はAの能力から生み出され、どういったものなのか。「それぞれ」という言葉を使い、20字以内で答えます。

少し話が反れますが、国語に悩む方なら一度は聞いたことがある、「問題文を先に読むか、設問を先に読むか」問題。後者の弊害のひとつとしては、読むのが一部分に限られるために文章の全体把握ができにくいことが挙げられます。そしてまさに、この問題こそ全体把握ができていれば苦しまない一問なのです。

どういうことかというと、傍線部2の近くには「概念」について設問通りの言葉で書かれている部分はありません。傍線部1のあと、「たとえば・・・」と国家や平和という実物がそこにないものの概念について述べている部分があります。そこにはまさに「それぞれ異なる」「それぞれがいい加減に決めて認識している」と、指定の言葉を使って「概念」について書かれています。

もしここを見つけることが出来たなら、解答はほぼ抜き出しで、少しの調整で書けるはずです。解答時間も大幅に短縮できます。

一方、傍線部2の近くから解答を導き出すのには、要素をまとめての作文が必要になります。そうなれば、解答時間は5分ほどは掛かるでしょう。

それを避けるためには「それぞれ」という与えられたヒントを最大限に活かすこと。これと同じ言葉を探すだけで、該当箇所にたどり着くことも可能です。もう何度も聞いたことがおありだとは思いますが、国語の解答は小論文でない限り、自ら文を作ることはありません。いかに与えられた文章から、該当箇所を見つけ出し、条件通りにまとめられるか。

逆にいえば「自分で考えて書く」場面になってしまったら、解答の見込みが間違っているのです。問題文を読み直し、同じ表現を書いているところを探しましょう。

次にC。「それにも関わらず」から始まり、「…から「災厄」が引き起こされる。」、つまり「災厄」が起こる原因について書かれた部分を探します。

傍線部2の前までの文章で、「バカの災厄」とはどうしたものか、ということを筆者は論じてきました。そして、「それこそが・・・」と主題を明らかにしています。つまり、この論説文の構成は「文章の最後に拙論がある」タイプ。そして、主題を明らかにしたすぐ後で、どのようにその災厄が生まれるのかを説明しています。この部分が解答としてまとめていきたいところです。

解答に入れるべき要素を決めましょう。まず、この文章がなぜ「概念」について論じるところからスタートしたのか。それは、「概念が孕む同一性は一つ」と思い込む「バカ」の説明をするためです。自分の同一性が相手にも通じると思い込んでいるために、そこから外れた相手を受け入れることができない。それどころか、敵とみなして攻撃する。こうして「災厄」は生まれていくのです。

45字以内とボリュームがあるように思いますが、要素を余すところなく、正しい日本語で入れればむしろちょうどいい長さです。

要素をまとめる力

大問3の漢字問題は特徴のみ。送り仮名まで書かせるところが、この学校の特徴です。難問ではない分、ここで落としたくはありません。語彙力や漢字は積み重ね。すきま時間をうまく利用して、繰り返し学習していきたいですね。

早稲田実業学校中等部の問題を3回にわたり考えました。文章量は多くないものの、記述問題は単なる抜き出しだけではないため解答に十分時間を取りたいところです。量ではなく質を問われる試験問題なので、いかに考察し記述できるか、深い読解力を問われます。

普段の学習から、「文章全体の主題を把握する」ということを意識していただきたい、そうでなければ合格には届かない学校であると言えるでしょう。