前回のブログで読むことの大切さに触れました。
読むための手がかりとなるものは、文章の種類ごとに違います。
物語文ではどうでしょうか。
登場人物を整理する
物語なので、必ず登場人物がいます。 中心人物=主人公とそれ以外の人たち。まずはそれを把握します。
登場人物たちは何かを話すでしょう。「」書きされた言葉、もしくは()書きされているような心の声が誰のものか、まずはそこを見分けましょう。
一郎はワクワクしています。今日は友人の二郎、三郎と土曜日の児童館前で待ち合わせをしています。児童館で、楽しみにしていたサッカー選手のイベントがあるのです。
「おはよう」一郎は連れ立ってやってきた二人に元気よく声を掛けました。
「おはよう」は一郎が言いました。
やってきた二人は二郎と三郎ですね。
「・・・おはよう」
「二郎、なんだか元気ないね」
二郎の隣で三郎が頷きます。
「さっきからずっとこんな感じなんだ」
どうしたんだろうと一郎は心配になりました。
国語が苦手な方は、ここでもう混乱するかもしれません。
「・・・おはよう」は初めの一郎からの声掛けへの返事です。ですから二郎か三郎のどちらかが返事をしたのです。
続いて誰かが「二郎、なんだか元気ないね」と問いかけ、それに「さっきからずっとこんな感じなんだ」と答える誰かがいます。
さあ、状況を整理しましょう。
一郎は一人で児童館前にいました。そこに二人がやってきたので声を掛けます。ということは、それより前の二郎の様子を一郎は見ていません。ですから「さっきからずっとこんな感じなんだ」といったのは、一郎より前に二郎と一緒にいた人物。三郎ですね。二郎は元気がなかったので、「・・・おはよう」と一郎に言いました。それに対して一郎が「二郎、なんだか元気ないね」と心配して言ったのです。
このわずかなやり取りの中でも、正確に誰の発言か把握することで、続く文章に予測が立ちます。
心情が唯一語られている一郎が主人公でしょう。二郎は普段はもっと元気なんだ、では何かあったのか?それがこれから語られるかもしれません。
物語文では、必ず変化が起こります。そしてそれはほとんどが、主人公の心情です。このあと起こりうるのは、一郎の心情の変化だと予想できます。それを追いかけつつ問題文を読んでいくと、ただ3人のやり取りを読んでいく時よりも、はるかに心情の変化の理由が見えてきます。
場面の変化で区切る
物語文では場面の変化も起こります。 短文では一場面もありえますが、入試問題に出るような長文ではありえません。場面も、ただ時間が進むだけではなく、過去が語られることもあります。主人公の回想が入ることもあります。
場面の変化を見落とすと、いずれどこかで混乱します。つじつまが合わなくなるのです。
問題文はきれいなまま、生徒さんの頭の中が混乱するのはとてももったいないことです。場面が変わったら思い切り線を引いたり、「」で閉じたりして、目印をつけていきましょう。そうすれば、ある場面の一郎の心情を尋ねられても、読み返す部分が絞れます。
必ず起こる変化を見逃さない
登場人物と場面。物語文で押さえるべき2つの手がかりです。そして、必ず変化が起こります。主人公が成長も気づきもしなければ、もはや物語文として成り立たないのです。そこを見逃さないことにエネルギーを集中しましょう。細かい描写はさらっと流して大丈夫。解答の段階で必要になったら、目印をもとに読み返しましょう。