女子学院中学・桜蔭中学校と並び「女子御三家」と称される雙葉中学校。

女子学院と同じくキリスト教系の学校ではありますが、雙葉中学校はカトリック、女子学院はプロテスタントの学校です。雙葉中学校では、カトリック精神に基づいて全人教育が行われています。その内容とは、真の知性を養い、自ら考え、自ら判断して行動し、その結果に責任を持つことのできる人間の育成を目指すというもの。また外国語教育に力を入れており、中3でフランス語が必修になります。心豊かに、国際的に活躍できる女性を輩出されている学校です。

要約の力を大いに使う問題

女子御三家のほか2校と同じく、文章量は大学入試並みの6000字越えです。当然、読むスピードが重視されます。普段の学習時から時間を意識して問題文を読み込めているか、ここが第一ポイントです。

テーマに関しては大問1,2とも読みやすい内容です。他の女子御三家2校と比較しても、受験生には苦手意識を抱かずに読める内容ではないでしょうか。

まず大問1。熱帯雨林に咲く巨大な花、ラフレシアについて書かれた文章です。

小問1。筆者がしばし立ちすくんでしまった理由を問います。ここで、「要約の5W」を使ってみましょう。

①「いつ(when)」

②「誰が(who)」

③「どこで(where)」

④「どうした(what happened)」

⑤「なぜ(why)」

問題文を読むときもこの5項目を意識しながら読むことで、理解のスピードが上がります。それでは実際に問題文から①~⑤にあてはめて解答を作っていきましょう。

①いつ=初めてラフレシアを見たとき

②誰が=筆者が

③どこで=熱帯雨林のなかで

④どうした=圧倒され、しばし立ちすくんでしまった

⑤なぜ=その大きさ、色合い、質感、とても植物とは思えず、さらにはにおいというおまけまでついて存在     感にあふれている。

これができれば、問の答えが④の前半「圧倒され」+⑤であるとわかります。小問1は理由を問うているので、解答は「~から」という文体を取りましょう。⑤なぜに続く「その大きさ・・・」は「初めてみるラフレシアの・・・」に言い換えると詳細かつすっきりした解答になります。また「とても植物とは~おまけまでついて」が口語体(話し言葉)に近いので、ここも言い換えると解答としてふさわしくなります。すなわち、「初めて見るラフレシアの大きさ、色合い、質感、においがとても植物とは思えず、その存在感に圧倒されたから」となります。

小問2は面白い問題です。こうした図が与えられた場合、もちろん文章から読み解いていくことには変わりないのですが、文章から頭に思い描いたものを与えられた図に書き込むことは危険です。

例えば算数のテストを思い浮かべてください。計算問題はほとんどの生徒さんが正解できます。正解率が下がるのは、図形の回転問題(空間把握)や体積、旅人算といった、一度自身の頭の中で想像する問題です。ですからこの問題も、せっかく図が与えられているのですから問題文の描写ごとにどんどん書き込んでいきましょう。第二段落にラフレシアの形状の詳しい記載があります。とても丁寧に「円盤表面の突起が雌しべにみえるがただの突起である」と書かれていますので、これはしっかり除外しましょう。「円盤の下面のえぐれこんだ奥」が雌しべなので、花の下と間違えることのないよう気を付けましょう。特に植物の知識がなくても十分解ける内容です。

小問3はあてはめ問題です。5つの接続詞の意味を理解していること、前後の文脈がどうつながっているのかを読み解くことが必要条件となります。

Aではハエがラフレシアの花の中に入る→背中に花粉がつく。餌がないので別の花で同じ行動を繰り返す。「添加」の接続詞=前の事柄(花の中に入る)に後の事柄(別の花に入る)を付け加えるやはりが入ります。Bは自動的にハエの背中の花粉がつくので「順接」の接続詞が入ります。「すると」ですね。Cは前の文の例をまとめて言い換えています。言い換えの接続詞「すなわち」が入ります。Dはラフレシアとハエの関係を特殊なものと捉えた筆者が、ほかにこのような関係があるか?と疑問を投げかけ、つづいて自ら同様の関係を補足しているので「じつは」です。

小問4、植物への感想を抱いた筆者の気持ちを表した一文を解答します。

傍線部が含まれた段落は、冒頭に植物が蜜を与え、昆虫は受粉を助けるいわゆる”win‐win”な関係を紹介したうえでラフレシアとハエの関係に言及しています。ハエはラフレシアから何も得るものはないのに、その受粉を助けています。ハエは何も得てはいませんが、退治されてもいないのです。また、最終段落で筆者はラフレシアを「大きな魅力」をもつ存在と記しています。その前の段落でも、ラフレシアが非効率にも巨大な花を咲かせ、細々どころか十四種もの分化をしていることに感心しています。筆者はラフレシアに不快な思いは全く抱いていませんし、けなげだとも思っていません。このように消去法で選んでも良いのですが、文章全体を通して筆者の言いたいことがわかれば、それほどの時間をかけずに解答できる問題でもあります。確認作業の際に消去法を使うのはあり得ますが、この後に記述問題が続くことを考えれば時間をなるべくかけたくない問題です。

小問5、これも問題文からのまとめ問題です。騙された部分を見つけ、先ほどの「要約の5W」を使い

④どうした⑤なぜで解答しましょう。第3段落にラフレシアへのハエの行動が詳細に記載されていますので、ここを使います。④ハエは花に入り込むが餌はなく、別の花へまた入り込んで雄花から雌花へと花粉を運んでいる⑤においにひかれて餌があると思い込むから。ハエは餌があると思うから花へ入るし、餌がないからラフレシアから騙されたことになるのです。

さて問題文は「騙されたとはどういうことか」と問いているので、解答も「~こと」という形式をとる必要があります。ですからここでは「ラフレシアのにおいにひかれて餌があると思い込み、花に入るが餌はなく雄花から雌花へ移動して花粉を運ぶだけになること」となります。

小問6、これは直前の文をまとめるだけなので時間をかけたくありません。

何者かが関わっているが分かっていないからくりは、ハエが開花しているラフレシアを見つける事ではありません。それは何者=ハエとまではわかっているからです。関わっているものさえわからないのはその後です。すなわち、「ミツバカズラのつるまでどのように運ばれ、つるの組織にどうやって入り込むのか」の部分です。これを示された文章に当てはめ、解答します。

小問7、ラフレシアの花が大きいことが不思議だと筆者が感じているのであれば、大きいことに何かラフレシアにとって良くないことがあるからでしょう。傍線部の段落ではラフレシアの花の咲き方、次の段落でラフレシアと同じ寄生植物の生態に触れています。この寄生植物の生態と一致しないから、筆者は「不思議」だと感じているのです。寄生植物の生態をまとめた一文の冒頭を書き抜きましょう。

小問8、「いきなり」の意味を問う語彙力をはかる設問です。皆さんは例えば「いきなり走り出した」とかいう「突然な状況」を思い浮かべるでしょう。つまり前触れもなく急に物事が起きる状況を示しています。そう考えると「短時間」とか「予想もしない」とかいう選択肢がふさわしいようにミスリードされてしまいそうですが、問題文で「いきなり(ラフレシアが)咲く」のはミツバカズラのつるの上。受粉後の経過の記載はなく、開花時期についても記載はありません。エの選択肢が紛らわしく感じるかもしれませんが、ここでは「葉もない寄生植物のラフレシア」が、ミツバカズラのつるから開花する様を表していますので、かりに周りに他の花があろうがなかろうが唐突な感じは変わらないのです。

小問9、記述問題です。この設問は自由記述ではなく要約記述です。「要約の5W」の出番です。

①「いつ(when)」=ここはこの問題では必要ありません。

②「誰が(who)」=筆者が。

③「どこで(where)」=熱帯雨林の中ですが、これもこの問題では必要ありません。

④「どうした(what happened)」=ラフレシアに大きな魅力を感じている。(傍線部後ろの記述より)

⑤「なぜ(why)」=さあ、ここがこの解答のポイントです。④筆者は大きな魅力を感じていますが、どうしてでしょう。「そんなことはどうだっていい、大きな花を咲かせたいんだ」とラフレシアが主張しているように感じているからです。では「」内をもう少し具体的に描写しましょう。そんなこと=直前にある「寄生植物だとか、効率の悪い生き方だかとか、種分化や繁殖生態の謎だとか」はどうだっていい。大きな花を咲かせたい。このままでは口語体なので解答として修正しましょう。「寄生植物としての効率の悪さや繁殖の謎など構うことなく、ただ巨大で鮮やかな赤い花(冒頭部分より抜き出し)を咲かせることを主張しているようなラフレシアに大きな魅力を感じている」となりますが、後半の「主張しているような」はあくまでも筆者の受け止めであり、これを第三者目線に書き換えて「ただ巨大で鮮やかな赤い花を咲かせることに力を注いでいる」とすると問題への解答として体裁が整います。

問われる総合的国語力

大問1を見てきました。漢字問題はなく、接続詞を問う問題がありましたが文章全体を読む力があれば対応できる問題でした。要約の力、読解の力をフル活用して解いていく問題ばかりでしたので、小手先の試験対策では太刀打ちできないと思われます。要約は繰り返していくうちに慣れていき、スピードも上がります。要約がうまくなれば、記述に充てる時間も確保できるようになり、生徒さんの負担も軽くなるのではないでしょうか。文章の長さは女子御三家のなかでは短いほうですが、まったく見落としができない充実した大問だと言えます。

次回は大問2,3を見ていきます。