MARCHの一角、青山学院大学の附属中学。プロテスタント系の共学校で、特に女子の倍率が高くなっています。渋谷から近く通学しやすいこと、内部進学で大学まで進学が可能なので、高校や大学受験に影響されずに伸び伸びとした学生生活を送れる、という点に人気が集まっているようです。

国語問題の特徴

大問が5、設問は39あります。単純計算で1問を70秒程度で解くことになります。とはいえ、これは文章を読む時間を含んでいません。ですから実際には1問に平均60秒=1分もかけられません。このレベルの中学入試になると「時間との闘い」は避けられません。それでは実際に大問の内容を見ていきましょう。

大問ごとの概略

大問1は漢字書き取り。難易度は普通です。設問は6問。これは1分程度で答えたいところです。

大問2は詩。岩波ジュニア新書からの出題とあって、受験生には大変共感を抱きやすい内容だと思います。学生生活を鮮やかに切り取った内容には、思わず自分自身を投影してしまう生徒さんも多いでしょう。

しかし、この親しみやすさが思わぬミスリードを生むことがあります。あまりにも自分に近いために筆者の考えか、出題者の考えか、自分の考えかが判別できなくなり、自分の個人的主観に近い選択肢を正解だと思いこんでしまう危険性があります。

例えば、「あなた」がお友達の自慢のアクアリウムを見せてもらったとします。そこにはいろんな水草、貝、そしてメダカがいます。そのメダカは美しいオレンジ色で、「あなた」が育てている大切な金魚に似ています。

お友達が尋ねます。”この魚の名前、知ってる?”

あなたは興奮して答えます。”家にいる金魚みたいだ!”

ーさあ、お友達はなんと答えるでしょう?質問に正確に回答してくれたと思うでしょうか。それとも”それは感想だ”と思うでしょうか?

共感は読書にはとても役立ちます。本の世界に入り込んでこそ、読書の愉しみを存分に味わえるのではないでしょうか。しかしこれが国語の試験となった時には、深い共感ゆえに質問の答えに”自分の主観”が入り込んでしまうことがあるのです。

この状況を避けるため、問題としての国語に取り組む時には自分の主観を交えずに文章を読み解く姿勢が必要です。実はこの力は論理的思考力を養うのに非常に有効なのです。「〜だと思う」ではなく「〜だから〜である」と根拠を示して論理を組み立てること。これは社会人になっても強みとなる要素ですので、中学受験でこの課題に取り組めるのは良い経験です。当塾でもこういった姿勢で読解に取り組んで行きます。

大問3は説明文。著名な社会学者が自由について論じた文章からの引用です。

文章としては長くありませんが、物語文と異なり自由について掘り下げていく文章のため、苦手意識を抱く生徒さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。こういった文章は大人の方でも苦手に感じる方が多いのです。物語文は”なんとなく楽しい””なんとなく面白い”と感じることで読み進められますが、説明文は感じで読むことはできないものです。ある意味淡々と語られる文章から、筆者がポイントとした部分を探っていくためには「読む技術」が必要です。

このような書き方をすると、私がただ試験に受かるためのトレーニングをしろと言っていると思われるかもしれません。しかし、この世界には数多の学問があり、多種多様な文章が存在しています。高校、大学と進んでいくうちに説明文に触れる機会は増えていきます。また国語といった教科に縛られず、わかりやすい例で言うと大学で必修に組み込まれているレベルの法学や地理学などでも、このような文章に向き合わなければならないでしょう。しかもその時にはもっと長い文章に向き合うのです。これからの未来のために、今この時に必要な読解力を鍛えていく。それがうまく行った時、中学受験合格とその先の展望が開けるとすれば、読解力強化に取り組まない理由がどこにあるのでしょう。

大問4はエッセイ。ちょっと気の緩みを誘うような柔らかい文章で、設問も難易度は普通です。強いて言うなら前半は事実(出来事)、後半が説明文になっているため、その部分を明確に読み分ける必要があります。同じ調子で読んでしまうと、筆者が言いたいことを掴むのは難しくなるでしょう。

大問5、受験生と同年代の少年の物語です。これも読みやすい文章ですが、ボリュームに比して場面展開が2回あり、戸惑うこともあるかもしれません。読解のための書き込みを活用し、場面ごとの少年の心情を追っていく必要があります。大問4と同様に、全てを同じ調子で読み進めていくと誤った選択肢に惑わされる危険もあります。

今日からスタート

さて、ざっくりと問題を見ていきました。総じて難易度は決して高くないと思います。ですが冒頭でも述べたように、スピードが要求される試験問題となっています。スピードを重視すれば正確性が損なわれるのは当然です。ですから普段からスムーズに読解を進められる学習方法を身につけ、問題処理能力を養っていくことが、特に本番まで時間があるこの時期は大切です。問題文が早く読めて理解できれば、解答時間も早くなります。

直前では、いきなりスピードを上げることはできません。必然的に、この問題は諦めてあちらの問題で確実に点をとるなどど行った「運に頼る」ことになりかねません。それでは、リラックスして本番に臨むことはできないでしょう。地道な努力を積み重ねた自信こそ最後に支えになります。

新しい春、スタートの時期が来ました。来年の春に向けて、底力を上げていけるこの時期、読解力を一緒に養っていきましょう。